誰でも一度は時間を戻したいと夢見たことがあるでしょう。
古代に時間と言う観念ができてから、ひとはみな時の流れに縛られて生きています。
時間があって初めてブランドに価値がつくと言う事、その時間を味方につけているエルメスがそれでも時間を止めてみたいと願って作り上げた時計「アルソー タンシュスポンデュ」
なぜか？時間というものが暮らしの中で果たす役割を知るために時間をとめる、時間は限りあるものなのです。
時間を止めるという歴史上、類を見ない偉業を実現するムーブメントを作り上げるひとの名は、ジャン＝マルク・ヴィダレッシュ。
ジュネーブに時計工房アジェノー社を構えています。精密機械である巻き時計を作るには埃の入り込まない実験室のような部屋を思い浮かべる気がしますが、ヴィダレッシュの工房は自然に向かって大きく開かれ、だれもが心穏やかに仕事に取り組めるようになっています。
そのアジェノー社にエルメスの使者が訪れました。「アルソー〜」の意義を説明すると同時に矢継ぎ早に疑問点が投げかけられ、方向性が明確化されていきます。
最初の話し合い、デッサンから時計の完成まで。洗練されたデザインの文字盤の下に収められた本の数センチ平方の微細な機構の中にジャン＝マルク・ヴィダレッシュとアジェノー社の、30年近い苦心と工夫が凝縮されています。
時計の針が刺すのはユートピアの、架空の時刻。日付を示す針は姿を隠す。時間の制約はなく、現在がいつまでも続くという魔法の時計が完成しました。
人生は息継ぐ暇もなく進んでいきます。ただ時刻を教えるだけの他の時計と異なり、この時計は時間を少しだけ授けてくれるのです。
アルソー・タンシュスポンデュ 2012年1月発表 1,554,000円〜
